佐々中央霊園

どう供養するか、されるか


大光寺住職 大 野 光 法




永代供養の注意点




 近年、高齢少子化や未婚率の上昇、家族の形態の


変化などに伴い永代供養を希望される方が増えて


います。


 確かに、自分の死後、自分や先祖の祭祀をして



もらう人がない方にとっては最善の方法でしょう。
 

しかし、子供に迷惑を掛けたくない、


子供がお参りをしてくれるか分からないという


理由によって永代供養を希望される方まで


現れているのは、あまりにも行き過ぎ、子供に


遠慮しすぎではないかと感じています。


実際お聞きしたのですが、ある方(仮にA子さん


とします)が、息子が祀ってくれるかどうか


分からないからと、檀家寺に100万円を納め


永代供養を申し込んだという話を聞き、ちょっと


違うのではないのかと感じました。



霊能者もどきの餌食に





私は霊断法を用いて悩み、苦しみを聞くことが


多いので特にそう感じるのかも知れませんが、


家族の病気のことで、お越しになった方は、


何かにすがりたい一心で、奥さんがインターネット


を検索し、埼玉県の自称霊能者に連絡を取り、


遠路来てもらったということでした。


3ヶ月もすると全く連絡が取れなくなったという


オチがついていました。聞きませんでしたが、


それなりの御布施を要求されたのでしょう。


誰しも、不幸が続くと藁にもすがりたい気持ちに


なります。


ましてやそれが、子供や孫のことだったら


どうでしょうか。きっと誰もが必死になるでしょう。


そんな時、親や先祖は永代供養しているとはいえ、


自分たちは何もしていなかったら変な霊能者から


先祖供養が出来ていないと言われて、多額の


お布施という名の金品を巻き上げられることにも


なりかねません。


A子さんは、子供に負担を掛けたくないという


親心で永代供養を選ばれたのでしょうが、


その想いが子供たちを苦しめることもあるのです。


私ならA子さんに、その100万円を子供に渡し、


『出来る範囲でいいから、このお金で供養して。』


と言うようにと勧めたでしょう。


ですから、安易に永代供養を選択するということは


お勧めしません。



永代供養はオプション制





永代供養といっても、人それぞれ考えの違いが


あると思います。


お墓がないので、納骨さえしてもらえば


後の供養は必要ないという方もいるでしょう。


当山では、普賢堂にて日々ご供養を捧げ、


盆・彼岸には合同の法要を行っていますが、


子供達には子供達の気持ちもあって、個人的に


年忌法要や、盆・彼岸の供養もしてもらいたいと


頼んでくる方も、多くいらっしゃいます。


供養は、自分の考えるやりかたで、残された方の


想いで、無理せず供養するのが良いと思います。


ですからオプション制なのです。



うちは分家だから・・・



「うちは分家ですから、ホトケ様がいないんです」


と、よく耳にします。果たしてそうでしょうか?


全ての人は、父と母を縁として、この世に生まれて


きます。木の股から生まれた人も、キャベツから


生まれてきた人も存在しません。


昔は、子供が分家をするときには、仏壇や


位牌を持たせることが当たり前でした。


今でも、新築をした時には、神棚や、仏壇


(ご先祖様)をはじめに入れるということが


行われています。


少年院に入った子供たちの家庭環境を調査した


ところ、9割以上の家庭に、神棚も仏壇も無かった


という調査結果があります。


子供が成長する上で、親以上に偉い方の存在は


必要なのです。


そのような意味でも仏壇を各家庭に祀ることは


大事なのですが、お墓に関しては、事情が違って


きているようです。


「うちは分家だから、本家の墓には入れないので、


別にお墓を建てなければ・・・」と、皆さん仰って


いますがどうなのでしょうか?。


昔は、広いの敷地の中に、親族のお墓が


並んでいました。直系のお墓をお参りしたときに


ついでと言ってはいけませんが、親族のお墓も


お参りをしていたものです。


現代は、ひと家庭の子供の数が、1人か2人、


多くても3人くらいです。お墓が無縁にならない、


いつも誰かがお参りしてくれる、その為には、


兄弟みんな一つのお墓に入った方が良いのでは


ないかと思っています。


兄弟が、それぞれにお墓を建立するより、一緒に


大きめのお墓を造った方が良くはないでしょうか。


現在では、夫、妻両家のお墓も増えています。


宿世の因縁があって、夫婦になり、舅、姑に


なるのです。魂の縁があるのですから、


ご一緒に入ることは何もおかしくはありません。


いずれにしても、将来的に無縁墓にならないことを


考えて、建立する必要があるようです。



お寺の墓地に墓碑を建てる、




永代供養墓を利用するメリット





『将来、墓地が使えなくなるということは


ないのでしょうか。』という、ご質問を


戴きました。


佐世保の霊園で問題が起こり、そのような


心配に直面しておられる方もいるので、


気にされてのことでしょう。


墓地はお寺の敷地内といっても公共の土地


という性格の強いものです。


県への規則変更、地元自治体との経営許可


申請、宗門への財産処分承認申請書等々、


全て私自身が手続きをしましたので、


法的な瑕疵は無いと断言出来ます。


ちなみに現在、墓地の経営が許されるのは、


自治体と宗教法人です。営利目的で霊園を


造り、ヤーメたといわれては困るからです。


ですから地目自体が墓地となり、基本永遠に


地目を変えることは出来ません。


そのような理由で、お寺から名義を借りた


名義貸しの霊園が多いのですが、当霊園は、


業者様からの資金提供を受けておりません。


100%大光寺名義です。


お寺の管理運営する墓地に、墓石を建立


する、永代供養墓を利用するということは、


お寺が続く限り供養してもらえるという


ことです。


これ以上の安心はないのではないでしょうか。